アルキメデスの立体に関する一番の問題点は、なんといっても厳密に定義することが難しいことにあります。そのため多くのサイトで、「アルキメデスの立体は未定義である」とか、「本によって意見が違う」とか色々書いてあります。
私はたくさん調べましたので、ここに「これぞ決定版」という意見を書きますが、やはり本によって色々な違いがあることをお断りしておきます。私の説明は、西洋の最新の幾何学における見解などを参考にしつつまとめたものです。
2次元の正多角形の重ね合わせかたと、同じ重ね合わせかたしか3次元なのにできない図形は興味深くないので、研究の対象外だともいえます。(つまり2次元の段階で研究すればよく、3次元の段階で研究するほどのことはないという意味です)。
これだけだと解りにくいので、例をあげると、例えば正三角柱━━これを正三角形2枚の間を3枚の正方形でつないで作ると、上の1と2の条件は満たしますが、正三角柱を正三角柱に重ね合わせる重ね合わせ方って、くるくる回して3通り、ひっくり返してまたくるくるで3通りの合計6通りしかありません。これは正三角形を正三角形に(裏返すことも含めて)重ねあわせる場合と、同じ個数の重ね合わせ方しかないということです。こんなふうに2次元の図形でも可能な重ね合わせ方しかできない図形は、2次元の段階で十分研究できてしまうので、真に3次元的とはいえず、3次元において研究する価値がないといえます。
そして、1と2の条件を満たすのに、真に3次元的でないためアルキメデスの立体から省かれた形はおおまかにわけて3通りあります。
これがどういう形なのかはクリックするとみれます(要VRML対応ブラウザ)。これらの形はみんな2次元でもできる程度の対称性しかもっていません。
ただ、ここで問題なことがいくつかあります。例えば、正多角柱(正4角柱を除く)のことを「アルキメデスの角柱」と呼んだり、正多角反柱(正3角反柱を除く)のことを「アルキメデスの反柱」と呼んだりすることがあるのです。また、ニセ菱形立方8面体をアルキメデスの立体に含める考え方もあります。要するにアルキメデスの立体の定義にはいくぶんの混乱が見られるのです。
それは上記の1と2の条件までは、どの本でもアルキメデスの立体の条件として採用しているのですが、3の条件について混乱が見られるためなのです。
これは多少難しい話になってしまいますが、上の重ね合わせるという操作は、数学では群論という分野の学問です。真に3次元的な重ね合わせ方は、正4面体群、正8面体群、正20面体群って呼ばれる3種類しかないってことが解っています。なのでこの3つにアルキメデスの立体は全部分類されます。つまりアルキメデスの立体は真に3次元的な立体だということも同時に意味しています。
そして実はこの3つの分類が、このサイトで採用してる「独身の正4面体さん」・「立方体一家」・「正12面体一家」という分類と同じものなのです。